衆議院選挙が間近に迫り、各党が選挙公約を発表する中、小池知事率いる希望の党も公約を発表しました。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21990610W7A001C1EA3000/ 最初に目を引いたのは、「2019年10月に予定されている10%への消費税引き上げは凍結する」という、いわゆる消費増税の凍結。税金は安い方が良いに決まっていますが、社会全体を支えていくうえで、国や自治体が税収を適切に確保すべきことは言うまでもありません。
ここで一つ問題なのは、消費税には地方消費税という、地方自治体の財源となる部分があることです。現在の5%で1%、10%で2.2%が地方消費税です。東京では、5%の消費税が10%になり、地方消費税1%が2.2%になると、試算上単年度でおよそ2.000億円の増収になります。もちろん、消費税が10%になれば、地方法人税(法人住民税の国税分)が拡大され一定額が相殺される可能性がありますので、まるまる2.000億円の増収になるとは考えにくいことではありますが、確実に税収が増えることは確かです。そして少子高齢化社会にますます拍車がかかるこれからの東京は、保育・医療・介護・障碍者福祉などの財政需要が一層高まることも事実です。したがつて、東京都知事の立場としては、どこの政党であろうとも、少子高齢化社会が一層進展していく中で、「消費増税凍結」=「結果としての地方財政の困窮」という意味を持つ選挙公約は、歓迎すべきものではないはずです。子供子育て支援新制度にしろ、介護保険制度にしろ、ほぼ全ての福祉に関する制度設計は、すでに消費税10%を前提としてつくられているのですから、消費増税の凍結は制度の根幹をもう一度作り直す膨大な作業を必要とします。小池知事は税制全体の中での消費税と地方消費税、地方法人税の位置付けや仕組み、また福祉政策及びそれを実施している現場の行政施策との関わりを、本当に理解しているのでしょうか。極めて疑問です。
かねてから議論になっている小池知事の二足の草鞋問題も、都知事と全国政党の代表を兼ねることが、物理的な問題以上に東京に不利益をもたらすことになるのは、この一事をもってしても明らかです。東京と国は対立しない方が良いのですが、しかし税制面などではことあるごとに、それぞれの立場の違いを論じ合ってきました。都知事と全国政党の代表を兼ねることは、東京では特に、こうした意味からも多くの矛盾をはらむのです。
「消費増税の凍結」…。小池知事の政策に対して、私はこの1年間頻繁に「荒唐無稽」という言葉を投げかけてきましたが、この度新たにこの消費税問題も「荒唐無稽」な政策のラインナップに加わりました。都知事としても、全国政党の代表としても、無責任極まりない公約と言えます。(ちなみに、都政における荒唐無稽な政策の代表的事例として、都議会冒頭解散・二階建て電車の導入・築地再開発などがあります)
なお、東京都の消費税引き上げに関わる諸問題について、私は平成25年の予算特別委員会で質疑を行っていますので、ご興味のある方は下記URLの議事録をご参照ください。 http://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/budget/2013/5-02.html
by mark2-ho
| 2017-10-07 23:20
| 政治
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